沢渡温泉〜釜トンネル〜バスターミナル〜上高地散策
参考資料:自転車コースガイド 信州エリア(アテネ書房) P100
本日自転車で走行したコースは前のレポートの地図の黄色部分。
以下の緑は徒歩で散策したコース。


(前回のレポートの続き)
昨夜は沢渡温泉に宿泊し、今日は上高地に行くことにした。
上高地はマイカーの乗り入れが禁止されており(ただしバス、タクシー、業務用の車はOK)、
マイカーで来た場合は手前の沢渡温泉の駐車場に車を止め、バスかタクシーで行くことになるらしい。

沢渡温泉と上高地の間にはいくつかのトンネルがあるが、
中でも一番最後の釜トンネルは、通称「恐怖の釜トン」と呼ばれる
恐ろしいトンネルだと首記参考資料に書かれていた。

自動車の少ない早朝5時に宿を出発し、国道158号線を上高地方面に進む。
すでに大型バスが走っている。
さらに、マイカー乗り入れ禁止にしては一般の車が割とたくさん走っていて変だなと思ったが、
国道158号線は上高地の手前で曲がって高山方面に通じており、
大部分の車はそちらに向かっていることが後で分かった。

梓川に沿ってずっと登りが続く。いくつかトンネルがあるが、
大部分は自転車が走れる歩道がついており、また照明も比較的明るく問題なかった。

1時間ほどして問題の「釜トンネル」に到着。
後で分かったことだが、このトンネルは幅が狭いため片側交互通行となっていて、
トンネル入口の信号が青になったら進むことができる。
青になっている時間がどの位の長さか不明だが、少なくとも6分以上である。

おもむろに自転車の前後のライトを全て点灯する。
ふとトンネルを見ると、大型バスが2台、トンネルに吸い込まれていく。
そしてバスとトンネルの間の隙間はごくわずかだ(>_<)。
すなわちトンネル内でバスが後ろから来た場合、自転車を抜くことができるかどうかがかなり疑問である。

意を決して走り始める。(今考えると、信号が青になった瞬間に走り始めた方がよかった。)
昔はトンネル内に照明がなかったらしいが、今はやや暗いが照明はある。
いきなり5%位の登りとなり、バスが後ろから来ないことを祈りつつ必死で登る。

200m位進んだところで勾配がさらにきつくなり、
呼吸が苦しく自転車で進むのが困難になったので、自転車から降りて押すことにした。
トンネルの前後から車がいつくるかいつくるかとハラハラドキドキしながら、必死で早歩きする。
路面は濡れており、天井から水が大量に落下している部分もある。
トンネル内はカーブしているので、あとどの位でトンネルが終わるのか分からず、ひたすら歩く。

トンネルの入口から400m位?でようやく出口になった。
結局車は一台も来ずにトンネルから脱出することができた。

トンネル内の幅は部分的にやや広い所もあるが、大部分は狭い。
従って、考えられる最悪のケースは、次のようなシナリオである。

入口の信号が青になって少し時間がたってから自転車でトンネルに入り、やがて力尽きて歩き始める。
そこへ後方からバスが走ってくる。
その場に立ち止まるが、幅が狭すぎてバスが自転車を抜くことができず、
結局バスを後ろに従えて必死で歩く。

ところがそうこうしている内に信号が変わり、
今度は前からバスが走ってきて、トンネルの中央で対峙してしまう
そうなると、どちらかのバスが、狭くて暗いトンネルをバックしなければならなくなる。

そうこうしているうちに次々と車がやってきて、トンネル内は車だらけになってしまう。
そして混乱の原因を作った元凶ということで、周囲のバスや車から口々に罵声を浴び
収拾がつかなくなる。


いずれにしても、釜トンネルを自転車で走るのは絶対止めた方が良いと断言する。

さて、話を元に戻す。釜トンネルを過ぎてもしばらく登りは続き、ようやく大正池に到着。
朝7時前なので、朝モヤで湖面や周囲の山々が霞み、幻想的な世界を醸し出す。

上高地で自転車は、県道を上高地の中央のバスターミナルまで走ることはできる(散策路は不可)。
やがてバスターミナルに無事到着。いまだに恐怖の釜トンの余韻が残っている。
当初、今日の帰りは自転車で、松本電鉄の新島々駅まで走る予定だったが、
帰路は下り基調とはいえ、釜トンネルその他多くのトンネルを走る必要があるので、バスで帰ることにした。

発券所で聞いてみると、松本や新島々行きのバスの一番後ろの座席は
登山客のリュックを置く荷物置き場になっており、自転車も輪行袋に入れれば何とか置けるとのこと。
また定員制で予約券が必要なので、4時40分発松本行きバスの予約券を購入した。
荷物預かり所でリュックを預け、自転車を置いて朝7時に徒歩で散策を開始する。

バスターミナルから少し歩くと、有名な河童橋に到着。
穂高連峰方面の景色が良い場所だが、朝なので逆光で影になっており、写真撮影は後回しにする。

河童橋を渡り、梓川の右岸の遊歩道を下流に向かう。
(注)上流から下流を見て右を右岸、左を左岸と呼びます。
この区間の歩道は主に川沿いに設置されている。
川底にある石ころのせいか、川の水は薄い青緑色をしていてとてもきれいだ。

右岸の遊歩道は穂高橋と田代橋のところで途切れ、橋を渡って左岸をさらに下流に向かう。
ここからコースが分岐していて、川沿いの「梓川コース」を下る。
コースが再び合流する付近にある田代池に立寄った後、
さらに下流に向かい、朝、自転車で立寄った大正池に再度到着。

大正池からは焼岳が間近に見える。
すでに日は高くなっており、湖面から朝モヤは消えていた。
観光バスから修学旅行の中学生と思われる集団や、
バスツアーの観光客がドヤドヤと降りてきて、遊歩道はだんだん混み始めた。

Uターンして左岸を上流に向かい、先ほどの分岐から山側の「林間コース」を進む。
田代橋で右に曲がり500m位歩くと、赤い山小屋風の建物が印象的な軽井沢帝国ホテルに到着。

再び遊歩道に戻り、上流の河童橋を目指して左岸を歩く。
朝方やや曇っていたが、この頃には青空が広がり、白い雲が浮かんでいる。

河童橋付近は上高地で一番人が集まる場所で、大勢の人でごった返していた。
出発時と違い、河童橋から見る穂高連峰には陽が当たり、よい景色だ。
おそらく上高地の中で一番の景色ではないかと思う。

河童橋から左岸をさらに上流に向かう。
小梨平のキャンプ場ではたくさんのテントが設営されていた。
ここから先、梓川はあまり見えず、木立の中を進む。
この道はそのまま登山道につながっているらしく、
大きなリュックを背負って杖を持った登山客が多く歩いている。

やがて明神橋に到着。河童橋と比べて観光客ははるかに少ないが、
ここからも明神岳など、なかなかの風景が楽しめる。

対岸に渡り、穂高神社奥宮内にある明神池の周囲を散策した後、右岸を下る。
林の中には、桂川に流れ込む小川や泉が点在しており、
池の中に立ち枯れした木が生えている場所もあった。

午後2時半に再度河童橋に到着。
朝7時に出発したので、写真を撮りながら7時間半歩いたことになる。

朝予約したバスの出発時間までまだ2時間あるので、河童橋付近でビールを飲んだり、
土産を物色したりして時間をつぶす。

バスは出発時刻の10分前から乗車を開始し、予約券の番号順に後部座席から乗り込む。
早朝に予約券を購入したので乗車順は2番だった(予約券は前日から購入できるらしい)。
後部座席付近には係員がいて、輪行袋とリュックを置いてくれた。

乗客は定員の3割程度だったが、登山客のリュックは大きいので、
後部座席の荷物置き場は結構埋まった。
1つ前の4時に出発した松本行きのバスは満席だったので、輪行袋を置くとじゃまになったかもしれない。
また、予約券の番号が後ろだと、すでに置かれているリュックの上から
輪行袋を置くことになるので安定性が悪い。

なお、下流の帝国ホテル前または大正池にもバス停があるが、バスが満席で乗れなかったり、
輪行袋が置けない可能性もあるので、自転車を積む場合は始発のバスターミナルから乗るべきだ。

やがてバスは動き出し、恐怖の釜トンネルなどを過ぎて、松本に向かう。
途中、雨が降ってきて、やがて大雨になった。
松本の市街地では(平日のせいか)渋滞に巻き込まれ、定刻より大分遅れて松本駅に到着。

バスの終点から駅まで100mほど歩く必要があるが、
後部座席の状態を撮影するため一番後ろの座席に座っており、
バスの中でリュックから傘を取り出せたため、濡れずにすんだ。

松本から電車に乗り、東京に到着したのは夜10時頃になった。

沢渡(さわんど)温泉の宿を朝5時に出発。
ここで一曲(←音が出ます。)
恐怖の釜トンネルを通過した直後。
大型バスがぎりぎり通れる幅だ。
路面の濡れている部分が、
大型バスのタイヤが通過する部分。
朝もやに霞む大正池(1)
大正池(2)

大正池から焼岳を望む。

上高地(ここから転載)。
写真右上より更に右(写っていない)に明神池がある。
自転車を置いて、河童橋付近からいざ出発。
水のきれいな梓川と焼岳。
日本アルプスの魅力を世界に紹介した
英国宣教師ウェストンのレリーフ
上流から見た、左から田代橋と穂高橋の眺め。
田代橋から下流を望む。
逆光の霞沢岳
田代池
大正池からの焼岳。
山肌の露出した部分が水面に映っている。
頂上からは白い噴煙が立ち昇っていた。
大正池から穂高連峰を望む。
林の中の湿地帯
湿地帯では板の上を歩く。
林の中には小さい泉が点在する。
鮮やかな赤い屋根の上高地帝国ホテル
左岸を河童橋に向かう。
穂高連峰
河童橋と穂高連峰

河童橋から上流の穂高連峰を望む。
ここで一曲(←音が出ます。)

穂高連峰の岳沢(ここから転載)。
下に写っている梓川の左端より少し下が河童橋。
河童橋から下流の焼岳を望む。
河童橋から明神橋まで左岸を歩く。
明神岳
明神橋から明神岳を望む。
明神橋から下流の眺め。
上流から見た明神橋。
明神池
林の中の泉。
前穂高岳?と明神岳
木立の中の散策路
梓川に流れ込む渓流
泉がいたるところにある。
ここで一曲(←音が出ます。)
水の中で立ち枯れした木
やはり河童橋から上流側の眺めが一番良い。
松本行きバスの後部座席は荷物置き場になっている。
左端が筆者のリュック。
その下に自転車の入った輪行袋が寝かせて置いてある。
雨の松本駅

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